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蜜蜂と遠雷〜NO MUSIC NO LIFE〜

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世界は音で溢れてる

めちゃくちゃいい言葉やなって思いました。観てきました。原作知らないままだったんですが、「音楽の天才」たちのお話になるので凡人としては世界が本当に違いすぎてですね、こう、言葉に起こすのは本当に難しい作品だと思いました。感覚的にはわかるけど...みたいな。そんな世界観をドキュメンタリーっぽく、中には幻想的な表現もあったり冷たさ温かさがわかる背景、心境を表した映像。きっと何よりも慎重に丁寧に一番配慮したのはやっぱり「」なんだなと。そしてそれを見事に映像化した青春・音楽映画でした。

ところで読んでくださってる方は未鑑賞の方が多いと思います。とりあえずあらすじから一通り登場人物までおさらいしておくので、観た方もこれからの方も大丈夫な範囲に収めます。

●あらすじ

3年に一度開催され、若手ピアニストの登竜門として注目される芳ヶ江国際ピアノコンクール。かつて天才少女と言われ、その将来を嘱望されるも、7年前、母親の死をきっかけに表舞台から消えていた栄伝亜夜松岡茉優)は、再起をかけ、自分の音を探しに、コンクールに挑む。そしてそこで、3人のコンテスタントと出会う。岩手の楽器店で働くかたわら、夢を諦めず、“生活者の音楽”を掲げ、年齢制限ギリギリで最後のコンクールに挑むサラリーマン奏者、高島明石松坂桃李)幼少の頃、亜夜と共にピアノを学び、いまは名門ジュリアード音楽院に在学し、人気実力を兼ね備えた優勝大本命のマサル・カルロス・レヴィ・アナトール森崎ウィンそして、今は亡き“ピアノの神様”の推薦状を持ち、突如として現れた謎の少年、風間塵鈴鹿央士)国際コンクールの熾烈な戦いを通し、ライバルたちと互いに刺激し合う中で、亜夜は、かつての自分の音楽と向き合うことになる。果たして亜夜は、まだ音楽の神様に愛されているのか。そして、最後に勝つのは誰か?

(引用:映画『蜜蜂と遠雷』公式サイト

◼️登場人物

栄伝亜夜松岡茉優

安直な感想になってしまうんですが、本当に演技が上手ですよね茉優ちゃんって....冒頭での真顔とぎこちない作り笑顔が心境をうまく表現してて、このコンクールに来るの相当覚悟が必要だったんだなと感じました。そんでずっと一人で暗い表情していたわけですけど、マサルと対面した瞬間幼き日々を思い出したのかただ知り合いということに安堵したのかこれまで見せなかった笑顔を見せるんですね。惚れてまうやろーーーー!!!!(そんなんいらん)どことは言えないんですが、涙をこらえきれなくなる演技とそこからの心境、表情の変化が本当に凄かった。口数の少ない役ですが、その分表情で見てる人に伝えなくてはいけない難しいだろうなと思ったんですけどそれをサラッとやってのけてしまうんですね、松岡茉優ちゃんは。素敵でした。

高島明石松坂桃李

無理でした(ほんまにそういうところやで)

何が無理だったかってまず妻子持ちで、家庭では子どもとじゃれる良き父親なんですよ。個人的な話でしかないんですが、桃李くんの父親姿が見慣れなくて....そもそも結婚指輪をしてるというところが見慣れなくてきっと一人で違う思いを抱いていたと思います(アウト)桃李くん演じる明石は、一番庶民であり一番苦労してきたであろう人物なんですよね。他の3人は所謂、天才。でもその苦悩とか諸々の感情を抑えて演じているように感じました。天才たちの演奏を間近で肌で感じることで、自分の非力さを痛感してしまうんですが、自分も「天才」である、あるいはそうなれるという気持ちも持ってるんですよ、当然ですよね。その気持ちに対する変化も注目して観て欲しいです。そして「生活者の音楽」を家族とのありふれた風景のシーンで見せてくれてしかもそれがナチュラルに演じているからこそ、説得力ある演奏とメロディになったんだなぁと。あとインタビューでめちゃくちゃ笑い方と言葉が桃李くんそのものだなと思った瞬間にスンっと明石になって涙を堪えるところがあって、ボロボロ泣きました。なぜ涙を堪えていたのかもぜひ観てください。彼の存在がないと天才たちは成り立たない。私はそう感じました。

マサル・カルロス・レヴィ・アナトール森崎ウィン

破茶滅茶に笑顔弾ける爽やか王子

というのも彼はアメリカからやってきたってなのとジュリアード王子の異名を持っている設定から、アイドル的スマイルで観客を魅了するキラキラした表情を惜しみなく発揮してました。いやほんと笑顔が弾けてました。何回でも言いたい。ほんでスタイルええんやな君....。桃李くんの1個下という驚愕の事実を知ってもう色々ビックリしまくりでした。彼について色々話すと必然的にネタバレになるんですが、茉優ちゃん演じる亜夜へ向ける表情が最高なんです。それが恋なのか何なのかは直接的な表現はないので観た方それぞれの捉え方でいいかなと思いました。そして完璧に見える彼の苦悩、壁を乗り越える姿、素晴らしかったです。

風間塵鈴鹿央士)

塵を演じた鈴鹿君ですが、広瀬すずちゃんがスカウトした新人くんと聞いてましたが、とても演技上手でした。あまり言うとネタバレになるので控えますがざっくばらんに言うと彼が色んなきっかけになる大事な役なんですよね。にしても、めちゃくちゃきゅるるんお天使な可愛さでした。そしてまさに神童と呼ぶにふさわしい存在感を出してくれてましたよね。本当にこの子はピアノ弾くの好きで、そして自分と同じくらいピアノが好きな人たちを愛してるんだと思いました。音楽の楽しさ、音の素晴らしさみたいなのをみんなに与える感じ。きっと練習量も抜群に多かったと思うけど一番楽しく弾いているように見えたし、中から湧きたつ多幸感のようなものもちゃんと伝わったので凄い逸材では?と思いました。

◼️最後に

4人それぞれが主人公なんですよね。1つのコンクールに出てそれぞれの演奏をし、それぞれの苦悩があり、個々の力を発揮する場なのでおのずとライバルになる。そんな中誰かの一言が、誰かの音が、誰かの胸に響いて影響されていく。もしかしたら本当のライバルは自分自身なんだろうなって。壁を目の前にして乗り越えられるかどうか、立ちはだかる壁は他の演奏者ではなく自分自身。ああもうなんて言えばいいのかわかんないんですが、本当に素敵な作品でした。それぞれの生き様が切なく儚く強く、音にのって伝わってきた。あと「蜜蜂と遠雷」というタイトルについて、どうしてそのタイトルなのか分かった時にはなるほど!と思いました。そして演奏後、思わず拍手してしまいそうになるほど素敵だった。公式さんが言っていたように本当に「映画館という名のコンサートホール」でした。音楽なんてよくわかんないって人にもきっと何かが刺さるだろうし、感じるものはあるだろうし、素敵な音の世界を体験してほしい。人間同士だからこそ与えられる影響がある(パンフレットより引用)言葉は少なくても伝わるものがある、と思いました。パンフレットを読んでより思いが伝わりました。ぜひみなさん、パンフレットとサントラをお手に取ってください。ちなみに原作を読んでないこともあり、映画との差異などは分からないので原作を読んでる方からすると納得いかないことが多いのかもしれないです。きっと端折るところは多いと思うので。

 

ということで、ネタバレを極力避けての感想のため薄っぺらくなってしまいました。またある程度経ったらネタバレ含む感想を共有出来たらいいなと思います。ぜひみなさんも映画館という名のコンサートホールへ足を運んでみてください。